2019年3月に『世界で通用する最強の子育て』という書籍を出版致しました。

その一部をご紹介いたします。

大人になった時に最も大切なのは「意志をもつ力」

世界の子育てで、最も大切にされていると感じるのは「意志をもつ力」を育てることです。

グローバルに活躍している経営者を見ていると「自分の意志を明確にもっている」と感じることが多くあります。

ビジネスの世界には正解がありません。

トップが明確なビジョンを持って進む道を決める必要がありますから、当たり前といえば当たり前ですね。

そして、海外の経営者が自分の意志を明確に示すのは、ビジネスの場面だけではないのです。

彼らは日常の場面でも、常に「こうしたい」という意志をしっかりともっていると感じます。

こんなことがありました。

とあるビジネスの会食で、レストランを訪れた時の事。

日本人であればメニューの中から「何を食べたいか」を考える人が多いですよね。

中国人はメニューにないものでも「私は今、○○が食べたい。作ることはできますか?」と、店員と交渉していたのです。

日本では小さいころから「与えられた環境の中で意思決定をすること」が多いように感じます。

一方で海外では、「~したい」という意志に基づいて自分から環境に働きかけていくことが日常生活から自然に行われています。

グローバルに活躍するために必要な「意志をもつ力」

進むべき道や日頃の行動を、自分の意志をもって選択していくということは、子ども自身が幸せな人生を歩むためにも大切なことです。

誰かの言いなりになって人生を生きるより、主体的に意志をもって人生を選択していくほうが幸福度が高い人生になると、私は思います。

そうなるために、子育てにおいて次の2つの視点が大切だと考えるようになりました。

①やりたいことを実現できるはずだという自己効力感をはぐくむこと

②やりたいと思えるほど興味があることを見つけ出すサポートをすること

「自分はできる」という自己効力感をはぐくむ

「~をしたい」という明確で強い意思をもつために必要なことは何でしょうか。

それは「その意思を実現できるという自分への信頼」が根底にあること」です。

「自分にはできないかもしれない」と思っていては「やりたい」と明言し行動に移すことはできないからです。

この「“自分はできる”という、自分への信頼」は、「自己効力感」と呼ばれています。

海外では「子どものことを徹底的にポジティブにとらえる」という文化があります。

日本では親が謙遜して「うちの子は全然できないんです」といった発言をすることがありますね。

しかし、海外では親が子どもにネガティブな評価を下すことはほとんどありません。

むしろ親が徹底的に子どもをほめていることに、きっと多くの方は驚かれることでしょう。

なるべく具体的にほめる

海外で親が子どもをほめる場面をみていて気付いたことがあります。

それは子どもを「素晴らしい!」とほめたあとに、必ずより「具体的に」できていることを伝えていることでした。

また、海外では自分の子どもだけでなく、他の家の子どもも同じようにほめる文化があります。

「あなたのお子さんはサッカーがうまいのね」

と曖昧にほめるのではなく、

「あなたのお子さんはドリブルがすごく早いから、先週の試合ですごく活躍していた」などと子どもの長所を具体的に教えてくれるのです。

これには、非常にうれしく思うと同時に、自然と子どもの良いところを見つけ出す観察力にとても驚かされました。

そもそも英語はほめる表現が日本語よりも多いように感じます。

日本語は「がんばったね」「すごいね」など、ほめる語彙が少ないのです。

その上、謙遜をしたり謙譲語を使う機会も多く、自然とネガティブな思考になってしまうのかもしれません。

一方、英語には相手をほめる表現が数多く存在しており、私自信も英語を使っているとポジティブな思考になりやすいように感じています。

英語を習うことは、自己効力感を身に着けるためにも重要なのですね。

親の期待値を下げる

ほめることの大切さはわかったが、自分の子どものほめるところがみつかりませんという方もいらっしゃるかもしれません。

その場合は、子どもに対する期待値が高い可能性があります。

海外では「どんなに小さなことでもできていることを言葉にして伝える」という意識が強くあります。

どんな小さなことでも、できていることを見つけてほめることによって、子どもはとても喜び、自分から次のステップに進んでいこうとするのです。

ただし、子どものできていることを認める際、注意が必要なことがあります。

親の意向に沿わせるために「ほめる」という手段を使ってはいけません。

手伝いや勉強など、親にとって都合のいいことだけをほめていると徐々に「ほめられたことだけをやる」考え方になってしまう可能性があるからです。

最終的な目標は子どもが自分の意志をもてるようにすること。

親が好ましいと思うことだけでなく、子どもが取り組んでいるゲームやスポーツを始め、様々なことについてできていることを認めてあげてほしいと思います。

失敗を失敗ととらえない文化

自己効力感をはぐくむうえで大切なのが「失敗したことを否定しない」ことです。

失敗を怒ったり、バカにされたりすると「自分はできない子なのだ」と、自信を失ってしまうことにつながるからです。

グローバルに活躍する経営者を見ていると「失敗を失敗だと思わない」という共通点があることに気が付きます。

子どもが水をこぼしてしまったとしても「こぼしちゃったんだね」と温かい雰囲気で見守るなど、子どもの失敗に対しても非常に寛大です。

努力をしたにもかかわらずもたらされてしまった失敗についてはどうでしょうか。

日本では「負けた」「合格しなかった」といった事実に注目して、親が落ち込んでしまったり、怒ってしまいがちです。

しかし海外では、結果よりも「子どもがそれをどう感じたか」を大切に考えています。

たとえばサッカーの試合に負けてしまったとしても親たちは落ち込んだり怒ったりすることはありません。

「悔しかったね」と声をかけることすらしません。

それよりも「今日の試合をどう感じたのか」という子どもたちの感想をまず聞くのです。

すると子どもたちは自分たちで

「自分は勝ちたいと思っていたから悔しい」

「こうやって練習していれば勝てたかもしれないと思う」

など、自分の気持ちや考えを話し始めます。

海外では「失敗」に対して大人が勝手に評価をすることはなく、子どもがどう感じるかが尊重されているのです。

子どもの興味を否定しない、誘導しない

子どもは、親から見たら「なんでそんなことに興味をもつのだろう」というようなことに興味を示すこともあるかもしれません。

子どもがゲームにはまっていたら「そんな役に立たないことではなく、勉強しなさい」と声をかけてしまう気持ちもよくわかります。

しかし、好きなことに全力で打ち込んだ経験がなければ、「これがやりたい」と強く思えるほど興味があることに出会うことはできないのではないでしょうか。

日本の学生たちが「自分が何に興味があるのか分からない」と一様に言うのは、小さいころから家庭や学校で自分の好きなことを思い切りやる機会を持ってこなかったことにも原因があると、私は思っています。

だからこそ、まずは子どもが興味を持ったことを否定せず、十分に取り組む時間をとってみてほしいですね。

本物に触れる機会をつくる

子どもが自分から興味をもてるものに出会うためには「本物に触れる機会をつくる」ことも重要です。

オランダの美術館で、息子はゴッホの自画像にとても衝撃を受けた様子でした。

その後ホテルで数時間かけて淡々と自画像の模写を始めたのです。

私は息子がスポーツにしか興味がない子だと思っていたのでびっくりしたものでした。

本物に触れることで、今まで興味がなかった分野にも興味をもつきっかけになること、そして子どもの世界を広げることになるのだと、このとき痛切に感じたのです。

途中で方向転換しても構わない

子どもが、本当に興味があることを見つけるために、「始めたことを途中でやめること」を過度に否定しないで欲しいと思います。

日本だと一度始めたことを最後までやり抜くことが重要だという価値観が根強くあります。

しかし海外では「本当に興味があることを見つけるためには、無理に続けることよりもその時々で本人がやりたいと思ったことをやる機会を作ろう」という感覚が強くあります。

習い事やクラブ活動を変えたり、掛け持ちしたりすることも珍しくありません。

だからこそ、子ども自身が「自分はこれが好きだ」と心の底から思えることに出会い、将来「こういうことをしたい」という意志を強くもてるようになっていくのだと思います。

子どもが本当に好きなことを見つけ、自分の意志をもって続けていくためには、様々なことを試してみることも重要です。

そして本人がやめたいと思った時には周囲の人間が口出しせず、あくまで本人の意思を大切にすることが必要なのではないでしょうか。

根拠のない自信をはぐくむ

この記事では将来子どもたちが自分の意志を明確にもって人生を歩んでいけるように

①やりたいことを実現できるはずだという自己効力感をはぐくむこと

②やりたいと思えるほど興味があることを見つけ出すサポートをすること

について話してきました。

これは一言でいえば

「親は子どもの好きなこと、行動したことに対して否定せず、まるごと肯定することが大切ということ」

でもあるのです。

その結果、子どもたちは「根拠のない自信」をもち、何事にも果敢に挑戦していけるメンタリティを身に着けることができるのだと、私は思っています。

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